《MUMEI》

「ルナとは学校のときけっこう一緒にいるんだけど、冷たいオーラみたいなのあるでしょ?だから彼氏とかの軽い話しはしちゃいけないかなあーって。あーでも今日は会えてよかったーあたし美羽、よろしくね!」

勝手に自己紹介をし終わって一気にアイスティーを喉に流し込む。ぼくも同じくしてアイス珈琲を半分くらい飲んだ。質問はまだ続くー

「ねえ、名前は?ルナとどこで知りあったの?いつから付き合ってるの?ルナ普段はどんな感じなのかな」

 永遠に止まりそうもない一方的な話をいったん片手で制して、

「僕は琥珀、涼鳴琥珀。ルナとは街で偶然、逢ったばっかりだけど。それから、その人形くれるかな、本当に落としたんだよ」

 美羽はあんなに長く話したのにーぼくは詰め寄るように話して、しかも超短縮版。まずかったかなあーと思ったけど、ぼくが落とした人形ならば、とにかく早く返してほしかったから。
 一瞬気まずそうな空気が流れた。会話のない少しの間があった。美羽は急に自分の小さな籠のようなバックを探ったと思ったら、何も言わずにブルーの瞳の黒兎を僕の手の中にぽとりと落とした。

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