《MUMEI》

珠美はNIGHTSの部室に戻ると、紅茶を入れていた。

な、何で私は紅茶なんか入れてるんだろう・・・?
さっきまでのしんみりした空気はどこ行ったんだ?

こんなことになったのは、明良達のせいだった。

「マミ〜!!紅茶入れてくれ!!」

「あたしも〜!!」

「お茶菓子もほしいなぁ〜」

「あやっぺの愛情ぎょうさん入ったアツアツの紅茶を1つ♪」

「愛情はいいけど、紅茶だけ」

ということで、今に至る。

秋塚君は既に意味わかんないし!!!

て、いうかお茶菓子どうしよう・・・?

珠美はぶつぶつ1人ごとと共に、冷凍庫を開け、中を確認した。

あ、バニラアイスだ!!これ勝手に使わせてもらおうかな。

甘党な千晴子の物だろうが、気にせずに使うことにした。

バニラアイスをボールに移し、鞄に入っていいたチョコチップクーッキーを砕いて入れて混ぜ込んだ。

それを6人分の皿に盛り付け、ミントの葉を添える。

でっきた〜♪
【即席クッキーアイス】の完成〜〜!!

ってだから、なんでこんなことしてんの、私!!

1人突っ込みを入れつつも、紅茶とその【即席クッキーアイス】をお盆にのせ、5人のいるテーブルに運んだ。

「できたよー」

珠美がお盆から1人1人の前に下ろすと、5人から歓声が上がった。

「うまそーだな!!相変わらず!!」

「きゃ〜!!マミ最高っ!!」

「さすがマミちゃんだねぇ〜♪」

「ああ!!これがあやっぺの愛情たっぷりなお菓子セットやぁ〜!!」

「良さん、おかしいって・・・。でもあんなにドジなのに、なんでこんなこと出来るのかな・・・?」

褒められて嬉しいんだけど、1人けなしているのと紙一重の人がいるな・・・。

ってそうだ、ずっと聞こうと思ってたんだった。

「ねぇ、そういえばなんで場所が変わったのに、駆けつけてきてくれたの?」

「それはぁ〜あやっぺに対するオレの愛がやなぁ〜!!」

「良!!キモいこと言わないで黙っててっ!!」

「なんやと〜!?今あやっぺにオレの愛を確認中なんやから、お前こそ黙っとけや!!」

「2人とも黙ってろよ・・・」

良次達に話の腰を折られた明良はガクッとするが、再び話し出した。

「オレらが体育館裏に行った時にはマミ達はいなくて、まだ来てないと思ってたんだ。でも、湊は気づいてたんだよ。さっき話してた時のマミの様子が変だった。だから何かあったんだ、ってな」

「そうなの?」

「どう考えてもおかしかったでしょ」

じゃあ春日君は、私がさっき邦光君達に言おうか迷って不安だった気持ちに気づいてくれたんだ。

「ありがとう、春日君!!」

「別に」

湊汰はふいっと顔を下げる。

「だからオレたちは場所が変わってたことに気が付いたんだ」

「でも場所は?場所までは分かんなかったんじゃないの?」

「それはまぁ・・・勘?」

「勘?て聞かれても・・・」

「なんかアキんとこに掛かって来た電話切るなり、走ってったもんな。まぁ勘に近いんかなぁ?」

「へ〜〜」

邦光君のお友達が教えてくれたのかな?
ありがとう、お友達!!

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