《MUMEI》

いったん記憶が遠のいて再び気が付いたときには煙で充満していた部屋の扉は半開きに、中にいた人間たちも、目覚めると数人と散らかったティッシュだけになっていた。

 どれだけ時間が経ったのかな…

 フラつく足元をなんとか壁つたいに支えながらクラブの裏口から出る。陽が昇り始めて辺りにごった返した段ボール箱や使えなくなった家具にボロ雑巾類が次第にはっきりと見えて来る。

 五時間くらいはいたみたい。

 二十分ほどの道のりを三十分以上もかけてやっとのことでマンションのフロアにあるガーデン用のベンチに腰掛けた。しわになったTシャツが一部だけジーンズからはみ出てる。ガンジャやginの匂いが、まだ染み付いたまま。頭が割れるように痛い。

 なんだか今日は特別に酷いな…

 鎮痛剤を飲もうと思ってボディバックから出したけど、すぐに落としてしまって探す気力もなくフラリとエレベータに乗り込んだ。

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