《MUMEI》
琥珀
JUJUは夕べ、ぼくの傍を片時も離れようとしなかった。出掛ける前から遅くなりそうだと思っていたから、テレビやパソコンは付けっぱなしでお菓子やジュースを置いて。
女の子向きかどうかはわからないけど、入院中の弟の部屋からも、いくつかゲームを拝借して置いたりもした。
 それでも、ぼくが一晩中部屋にいなかったことがよっぽど少女を不安にさせてしまってたみたいで常にぼくに体を密着させているか、ちょっと立ち上がるだけでシャツの裾を掴んで離そうとしなかった。
 まさか天使がぼくの家にいるなんて誰も思いもしないだろう。しかも連れて来た日から、同じ枕でお互い顔を見つめ合いながら眠りに入る。
 これは幻なのだろうか?真っ黒な瞳は和の安らぎと洋の神秘性を持ち合わせて凛とした表情を見せたと思ったら消え入りそうな儚い視線を伴い、時折ぼくに得体の知れない化け物がこの少女をどこかへ封じ込めようとしてるのではないか?とゆう漠然とした不安感に、居ても立ってもいられない気持ちでいっぱいになる。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫