《MUMEI》

目覚めた状態でピンクのジャージのままベットに倒れ込み。震える手で安定剤を十錠ほど取り、包帯の腕でミネラルを持って喉に流し込む。少し麻酔の切れた傷がジンと痛み出していた。
 生暖かい風が感情の根本にある思いやりの形状を、得体の知れない蛇のような物体に変えていた。お互いを落とし合い傷付け合うことは、人間が生きてゆくために欠かせないことなのかもしれない。


 両親の事故死によりルナはいったん施設に入ることになった。ホントはルナ自身の手ですべてを消し去る予定だった。でも残念ながら審判なる神は罪を背負うことを許してはくれなかった。
 古くからの施設は当たり前に上下関係が厳しかった。あとから入って来た客に意見は通用しない。その分従業員に対するお金だけは待遇がよかったみたいで、ここもまた世間体を気にした施設とゆう名の有刺鉄線に包まれた枠組みの中でしかなかった。
 
 代々から継がれる園長を名乗る男は引退前を無難に過ごしたいだけ。その園長の二度目に来た若い妻によってこの施設は運営されていた。その女はワンマンとゆう立派なものではなく、ただ地位のあるこの学園で名誉を守り自分に従わせていたいだけの抹殺に値する存在。そしてこの最低の女に周りはついてゆくしかなかった。

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