《MUMEI》

 引き取られた子供たちには基本的に優しかった。ほとんどが小さな子供たちと、自分のしもべとなるタイプの仮面を付けた仔羊たち。与えられる物にはひたすら喜びを感じていなくてはいけなくて、女の嫌いなものは皆キライでなくてはならないとゆうなんともバカらしい無言の掟。染まりやすい子供たちにとって、これは当たり前の屈服だと思っていたのかもしれない。

 そしてルナはこんなバカげた輪の中に決して入ることはなかった。こんな女に屈服するくらいならいっそ舌を噛んで死んだ方がまし!
 子供と大人の境、でもルナにはすでに岩とした意志を持っていた。誰にも媚びずに友達を持とうとする素振りすら見せようとしない。どこをどう見ても他の子たちと同じ種類の人間とは思えない。
 このときほとんど微笑むことのないルナにいったい何が出来たのだろう?たとえ演技で逆らわなかったとしても、貫いた姿勢はこの場所に馴染むことは無かったに違いない。

 若妻を取り巻く人たちからのイジメは入園して間もなく始まった。わざと落とした食事を再び器に乗せたり、持ってる物をわざと落として、拾おうとすると踏まれたり蹴られたり。机や椅子には釘やら空き缶でおぞましい芸術品が出来上がっていた。

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