《MUMEI》

「仕方ないわね、早くかたずけなさい」

 わかって仕掛けているのだ、ことのすべてを。逆らうことが出来ない愚かな人たち、身を守る部分が逆に己を滅ぼしてゆく。でも先生自身それに気付くことはない。許しを得た部下のように当たり前にルナを責め続けるだけだった。
 でも不思議とルナは逃げようとしなかった。与えられた宿命かの如く淡々と物事をかたずけていった。
 まずは捨てた物は拾ってでも食べた。釘や空き缶はさっとかたずけて何事もなかった様に椅子に座った。踏まれたり蹴られたりしても、倒れたら起き上がるを何度も続けた。
 きっとそんなことルナにとってどっちでもよかったんだ。ちょっとウザかっただけ。そしてこの態度が、またイジメの原因となりエスカレートすることになる。

 施設に入って三ヶ月ほど、一部始終をずうーっと眺めていたヤツが勝手に近付いてきた。同じ施設に通う男の子で年は少し上らしい。皆から太陽と呼ばれている落ち着きのないヤツ。しょっちゅうガムを噛みながらヘラヘラ笑ってる。何がそんなの面白いのだろう?

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