《MUMEI》

茶々間太陽、どうやら太陽は本当の名前みたいだ。
 みんなの前では何も手助けはしないのに、ルナがひとりになるロッカーや倉庫にはヒョイと現れ

「まあ、気にすんな」

 手伝う訳でもなく、ただジーっと立って見てるだけ。彼の考えてることはもうわかっていた。
 舐め回すように体を眺める。右の口角は上がったまま、ニヤリと笑ったポーズは形を変えない。歩くときは斜めに構えて話すときは壁か扉に寄り掛かる。ナメてるとしか思えない行動は、いつもは相手にしないルナでも次第に苛立たせた。

 そしてあの日、イジメでバケツの水をかけられたあと、水溜りになった床を何とかしようと、モップを出そうとしたらアイツが倉庫の真ん前に立っていた。モップを取らせてくれない。睨み付けても動こうとはしない。

「もうーほっといてよ!」

 発したセリフはどうやら太陽の機嫌をそこねたらしい。表情を一瞬固くしたけど、すぐにヘラヘラして何も言わずにさっさと立ち去った。いなくなったことにルナはホっとしていた。でも甘かった…

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