《MUMEI》

光の園と呼ばれる大きな庭の向こう側にも木々や花々に囲まれたカラフルで優雅な公園が見える。その先にそびえ立つルナの通う女子学園と隣り合わせの教会。

 キリストの学校はいつからあそこに構えているのだろう。少なくとも私が生まれる前からよね。

 長く息を潜める存在は、今の私を十分に飲み込むほどに偉大だった。

 学校から公園と光の園を抜けてこの図書館にたどり着く。ここから公園の向こう側までは見えないけど、無造作に置かれてるベンチには見える場所もいくつかある。数時間前、私はこの道程をたどって此処まで来た。体中の液体がひんやりとした新鮮な空気に寄って入れ替えられてゆくような感じ、今まではイヤと思うハズの感覚が何故かこのときだけは許せる気がして自然に身を任せていた。気功の流れと共に起こる眠気、有り得ない至福の時間をまったりと保っている。


 ふと、ぼんやりした視界の中に何かが飛び込んで来た。公園のベンチで人が揉みあっているような光景。道路脇には白いベンツらしき形をした車が止まっている。

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