《MUMEI》

目を凝らして見てみると、どうやら男の子二人が女の子ひとりを拉致しようとしてるようだった。そしてそのカラフルな動きのひとつはさっきまで一緒にいた美羽だとすぐにわかった。
 驚いたルナは飲みかけの紙コップを投げ捨てベンチへと向かった。どうして人間をキライな私がこんな行動に走ったのかわからない。だけど人間はときに自分では理解出来ない行動に走ることもあると何度か思ったことがある。
 数分後、公園の入り口辺りに辿り着いた。近くに見えた公園のベンチまでは以外と時間がかかって息が切れぎれになっていた。

「美羽!」

 とっさに声を発した。絡んでる男たちが驚いて逃げ出してくれることを祈った。
 二人の男のひとりが美羽の腕をつかんでいる。

 どこかで見覚えのある…

 そう、二度と会いたくないヤツとの二度目の遭遇。目の前が真っ白になり、私はもう自分の運命を呪うしかなかった。時間が止まり息遣いだけが荒く感覚を押し潰そうとしている。

「へへ、みーつけた!」

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