《MUMEI》

思い出したくない施設での出来事。嫌がらせに耐えた日々。シャワールームでいきなり襲われたこと。どぶネズミのような生活。これは自分の受けるべき宿命だと諦め思い込むようにして感情を押し殺し、持ちうるラインを底辺まで下げてすべて受け入れる覚悟で過ごした日々。
 あの頃の私は今よりもっと深く漆黒の空洞を瞳の奥に抱え持っていた。誰にも動かせない岩とした思い、世の中に生きてる人間は誰ひとりとして信じることを、自己の中に許し受け入れてはいけないとゆうことを確信していた。

 でもここ数日、何か違う変調が記憶を揺るがし私の心を撫で付けブレた状態にさせていた。それが何かはわかっていたのかもしれないけど、わかりたくナイ自分がもうひとりの存在の邪魔をして、荒れた波の風下に真実を追いやっていた素知らぬ振りをしていた。
 二人のワタシが存在する。記憶の私と瞬間に反応してしまう無のワタシ。そして今押し出された心はー

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