《MUMEI》
琥珀
公園の噴水にお金を受け取りに行ってルナと偶然逢ってから、琥珀はかなり混乱していた。家に戻ってからもまったく落ち着かない。JUJUと一緒にいることで落ち着きを取り戻そうと努力したけど、かえってJUJUの瞳がルナの空洞に繋がる視線とダブり余計に落ち着かなくさせていた。
 別にJUJUと一緒にいることがいけない訳ではない。でも少女はまだこの状態を把握出来るほど成長してはいないのだ。ぼくの行動をそのまま合わせ鏡のように直接影響を受けてしまう。
 次第に哀しそうな表情をする顔は泣き顔になってきて、ぼくはマズイと思い受け取ったお金で買って来たばかりの大きなテディーベアと可愛いキティーグッズを与えてテレビ番組の人気アニメを付けたまま一階へ降りることにした。
 最近は晴天が続いてるせいもあってやっぱり窓は開けっぱなし。夏も終わりに近付いたのか、まだ暑いのに入って来る風だけは少し冷たくなっていた。

 ちょっと早いけど、居るかなあー

 ほとんど毎日のように上げてるパンとミルク。この間は、ぼくの分のささみや小魚までお裾分けして上げた。食べ物を冷蔵庫から出して開いてる窓の手前に立って、すでに色の褪せた殺風景な庭を見まわしてみる。

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