《MUMEI》 いた! 左右に並ぶ高さのない木々、左側の木陰にトラ模様の影が見え隠れしてる。そしてぼくを見つけたみたいで、涼んでる場所から窓のすぐ下にまでやって来た。最初に見たときよりふっくらして毛艶も良くなってきている。 やっぱり血統はメインクーンだよなあー 入院して逢いに行っても上げられない弟のユウヤに対する罪悪感。この猫の成長はぼくの手の中でしっかり息ずき、永遠の存在ーとさえ願っていた。 窓際に腰掛けてジーっとトラ猫を眺めようとしゃがみ込む、ゴツンとゆう音で右ポケットに入ったナイフを取り出した。ちょっと前にパソコンの通販で手に入れた陰陽を思わせる青龍、玄武、白虎、朱雀の重厚なナイフ。この四体が絡み合ってひとつの命を吹き込まれた偉大な存在となる。 毎日眠りのときは、必ずテーブルに置いて祈りを捧げる。特別に方法はわからないから気持ちだけーそして傍にはいつも一緒に祈ってくれる少女が、小さな縫いぐるみやお菓子をぼくの分まで捧げてくれる。 ルナ、君もピンクの十字架で毎日祈りを捧げてるのかな。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |