《MUMEI》
珠美はふ、と時計を見ると、さっきから1時間ちょっと経っていることに気が付いた。
皆といると、早いなぁ・・・。
あ、ちゃんと最後にお礼言わなきゃだよね。
珠美は静かに立ち上がった。
「みんな本当にありがとう!!皆に会えて本当によかった!!」
珠美は泣きそうな顔を見せないように、ぺこりと頭を下げた。
うぅ・・・泣きそう。
バレないといいな。
「何言ってんだお前?」
「は?」
今良い雰囲気でお辞儀してんのに、何言ってんのこの人は・・・!!
「だから、何最後に〜的な話をしてんだよ?」
「へ?」
「さっきからあなた、一言しか喋ってないよ?」
湊汰の突っ込みは軽く交わし、珠美は続けた。
「解決してもらって最後だから、挨拶してるんでしょ!!NIGHTSとしてはもう会えないんだから!!」
「会えんだろ。お前、今からNIGHTSだし」
「はい!?」
珠美は自分の耳を疑った。
な、なんて言ったの?
この人。
「だぁかぁらぁ!!お前はもうNIGHTSなの!!」
「いつ決まったの、そんなこと!!」
「さっき。オレらが決めた!!」
「はい〜〜!?」
だめだ、この人と話しても埒が明かない。
さっき助けてもらった時は本当にかっこいいって思ったのに・・・。
珠美はさっきの明良の姿を思い出して、顔が熱くなり、胸がドキッとした。
な、なんなんだろう、このドキッて・・・?
熱、なのかなぁ・・・?
この乙女チックな感情から『お医者さんに行った方がいいのかな?』という、色気も何も無い発想にたどり着いていた珠美はハッとした。
「って、何で私なんかがNIGHTSに入れるの?皆みたいな特技も無いし・・・」
「なにいってんの、マミ!!さっきのマミ、かっこ良かったよっ!!あんなこと言える人はNIGHTSにはいないよ!!」
「そうそう!!あれも立派な特技やで〜優しくて人のことを考えられるあやっぺのな!!」
都槻と良次は珠美の肩を叩く。
都槻ちゃん、秋塚君・・・。
「それに、マミちゃんといると落ち着くんだよ〜私達。こういう人もいたほうがいいと思わない?私達に会いにくるのは皆傷ついた人達なんだし、ね♪」
千晴子はザベスと共に珠美に抱きついた。
千晴子ちゃん・・・。
「おもしろいから良いんじゃない?」
僅かではあるが、湊汰は顔を綻ばせた。
春日君・・・。
「皆もこう言ってんだから決定!!お前もNIGHTSの1人な、マミ!!」
「本当に・・・?」
本当にまた皆と一緒にいられるの?
私の答えは決まってる・・・!!
「これからよろしくお願いします!!」
こうしてちょっぴりドジで優しい心を持った【ALICE】は、次の困っているALICEを助ける為に闘う【NIGHTS】となったのだった。
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