《MUMEI》

此処はまるで漆黒の牢獄の中。地球の人類はあっとゆう間に消え果て何故かぼくだけが生き残ってしまった。しかも風も気も光も与えられない只の真っ暗な状況。
恐怖は想像を絶する極限の状態で、もう気が振れんばかりになっていた。そしてぼくはパタリと気を失った。

 次に目覚めたときは少し違っていた。暗い闇だけが冷たく続くその先に、たったひとつだけ光の輪のような物が見えた。ぼくの体を根のように地に張り付けていた重りも無く、生暖かい空間の中にそのまま放置されて横たわっていた。
 だからぼくは試みた。真っ暗な闇を足元に注意を払いながら確実に一歩ずつ一歩ずつ、近くも遠くもわからない光に向かって歩いてゆこうと。
 まずは自分の体を確かめてみた。最初は恐るおそる、やがてしっかりと確認してみる。どうやらちゃんと手も脚も残っていて、衣服も身に着けているようだ。とりあえずホっとして座り込みそうになる自分をなんとか気力だけで支えてー靴を履いてる感覚もしっかり伝わって来る。

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