《MUMEI》

ぼくは本格的な一騎討ちになり、どうやってこの場から切り抜けたらいいのか必死になって考えていた。何度立ち向かっても倍以上になって返って来る。このままだと完全にぼくのリタイア。ルナは連れ去られて何をされるかわかったものではない。意識がもうろうとしかかったとき視界にルナが立っていた。多分一時的な睡眠薬で眠らされていたのだろう。足元は微妙だったけど、これならなんとか逃げられそうだ?ぼくがコイツを倒せさえすればだけど。
 ここから先はもうガムシャラだった。一瞬ポケットに入ってる重厚なナイフを出そう思って引き抜きかけたけど踏み止まってすぐにしまった。公園脇に立ち並んでるポールや工事に使用するペンチなどの金属類。その中のひとつ何も加工されてない鉄の棒のような物を手に取って一度体を離し、今度は一気にこっちから攻めまくった。向こうは素手なのにやはり力は上、体を殴ってもビクともしない。結局殺人犯にはなりたくなかったけど、頭を狙うことにした。思いっきりではなくほんの少しだけ緩めて殴りかかって来た彼を退けスカした瞬間に後ろからひと振り。

 ビンゴ!

 力の加減も辺り具合もちょうど良かったみたいで、血が噴き出すこともなく立ちくらみの状態でバッタリ倒れた。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫