《MUMEI》

両親の事故死から今の里親に引き取ってもらえるまで、ルナは施設で過ごすことになった。無表情で子供らしさがなく、笑顔を創ることも教えられていないルナ。当たり前に周りからの圧力は強くイジメの標的となり、次第に深海の闇の中でしか生きられない鉛(なまり)のような存在になっていった。迎えるハズの大切な思春期も施設にいた茶々間太陽に寄って奪われてしまう。

 ルナの肩を抱いてるぼくの手に力がこもる。ルナのふくよかな胸のシルバーピンクの十字架がキラリと揺れた。

まったく表情を変えないルナ。哀しみを越えてしまった人間の顔はこんな感じなのだろうか。怒りも涙も許されない幼い頃の現実に、ぼくは引き戻してしまったのだろうか。一瞬ぼくの方が哀しくなって崩れそうになる。

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