《MUMEI》
ルナ
琥珀との時間を共有し、彼を見送ったあとから気分が悪くなって来るのがわかった。落ち着きなく爪を噛んで部屋を意味なく何度も往復する。たまに椅子代わりのベットの上に座ったかと思うとまた立ち上がったり。自己の中の調節し切れないネジのような物が外れてしまったみたいで、歯車が思ったように働かない。何度記憶をさかのぼってまでして取り戻そうとしても、手繰り寄せる回路が絡んだまま解けないでいる。
 重罪を犯した人間みたいに心も体も鎖で縛られて、かろうじて守ってきた硝子とゆう心の壁で創られた世界が崩れかけて壊れてしまうのではないかとゆう恐怖感。今までにこんな思いをしたことはあっただろうか?

幼少時期ただの人形のように扱われた続けた無情感、施設でイジメを受け続けた屈辱感、レイプで心が灰色になってしまった喪失感。
耐えられないと思っていた感情もすべてコントロールしてこれまでやって来た。この世に存在してしまった自己と、この世界にあってはならない汚れが許せなくてー男を誘っては自分の中に眠る泥を吐き出し抹消した。
 ときは煙とガンジャに紛れたコンクリートの地下へと潜り、すべてが真っ白になるまで自分自身を殺し続ける。
 ときには紅く流れ落ちる血液と共に自己の真髄を侵されたしまったとゆう自責の念で罪を解放するために、生きてる証である紅い印を確認する。

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