《MUMEI》

闇に侵された人間の行き先は漆黒の底辺まで堕落し、二度と存在するべきではないのだから。

 次第に頭の中にゼリー状の液体がドロリと流れ込み、私自身を支配し始めた。

 助けてたすけて、たすけて…

 心の中の叫びは止まることなくなおも続く。


 今日はいつもと違って街に出て男をホテルに誘う気力も失く、クラブ・ドレッドで朝になるまで果てる気分にもなれない。ただ、いつもと異なる心の揺れに苛々して、気持ちがまったく落ち着かない。
真ん中で仕切りのように置かれた熱帯魚の幻想的な照明、落ち着きを取り戻すには最高の空間だったハズなのに今日はまったく役割を果たせないでいる。

 落ち着かない。
 落ち着かない。
 落ち着かない。

 苛々する…

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