《MUMEI》 次第に部屋を何度も往復するだけでは気が済まなくなってー部屋の角に達したとき、いつも薄っすらと付けっぱなしにしてるギリシャ彫りの照明スタンドを腕でなぎ倒した。 ガシャーン! 物凄い音と共に部屋全体に反響し、一瞬でギリシャ国は形を失った。そしてこれが引きがねとなり感情は段々とエスカレートしてゆく。 壁に飾られてるタペストリーは手で引き裂かれ、始めから設置された本棚の書物はすべて床に落とされ破り捨てる。揚げ句の果ては衣装ルームにある洋服まで無作為に引きずり出し、思いのまま手で引き契ってゆく。行動と共に抑え切れない怒りや哀しみのようなものが一気に爆発する。 訳の解らない声が得体の知れあい化け物に変えられてゆくかの如く叫び声となり、気が狂ったようにこの熱帯ワールドを破壊してゆく。 消えてしまえ! 消えてしまえ! 消えてしまえ! 足元には沢山のチリのような硝子の破片と紙と布切れ。破片を踏んでも痛みを感じることはない。ただひたすらに壊してゆくだけ。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |