《MUMEI》

ああ、神はやっと私を受け入れてくれた。

 生まれて来てはいけなかった罪。呼吸をして食し、傷を身体を殺し闇に逆らった罪。喜びも哀しみもすべて感じてはならなかったとゆう罪。この世に存在することで、この世界を抹消する計画を邪魔してしまったことへの罪。仮面を付けてキリストの学校に通った偽りの罪。

 深海に眠る無機質な存在は、ときとして自ら漆黒の世界へと誘うことがある。この予期せぬ変化は不意に起こりー捨て切れないジャンクな魂を滅ぼそうとする。間違いも正しいもない。螺旋状に張り巡らされた棘を持つ蔓のようなものは容赦なく私を覆い尽くし、確実に堕ちることを成し遂げるだろう。そしてぶら下がったままの魂は闇の主に君臨することで、受け入れを許可し対価を求めてくるだろう。

 自らの命を与えることなんて、これっぽっちも惜しくないのだから。

 体を包み込むドロリとした感覚は、私の思考をより奥深くに刻みつける。永遠の刻印をたった今与えられた者として、私は未来永劫の切符を手に入れたのだ。

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