《MUMEI》
U・意地っ張りな2人の恋のカタチ
「マミ〜〜!!今日のお菓子何〜〜っ?」

「マフィンだよ〜ツヅちゃん!!」

「きゃ〜おいしそ〜!!」

珠美がNIGHTSに入って1ヵ月半。

1ヶ月半前とは変わったところは2つだった。

1つ目は相談者である【ALICE】だったのが、そのALICEを助ける【NIHGTS】になったこと。

2つ目はNIGHTSの5人ともすっかり打ち解けたことだった。

「ヅヅ!!オレのあやっぺに何してんねん!!」

「何言ってんの!?マミはあたしのだしっ!!」

「ちょっとツヅちゃんも良ちゃんも大人しく・・・ね?」

いきなりケンカ体制に入った2人を止めようとするが、足が前に進まない。

あ〜足はなんて正直なんだ!!
近づきたくないって言ってるよ!!

そんな葛藤があり、珠美はオドオドとする。

「ほっといていいよ〜マミちゃん。2人は止められないから」

「そんなのん気なこと言って!!もう、ちーちゃんは!!」

「マミが止めに入ったら、潰されちゃうよ。それか自爆するか」

派手に転んでね、と湊汰は珠美の方を見る。

「もー湊ちゃんは!!それ心配してんの?けなしてんの?」

「どっちも?」

「何その疑問系〜!?」

そんな珠美を見て、湊汰は口元を緩めた。

1番変わったのは湊ちゃんの、私に対する態度かな。
でも他の皆は【さん】付けなのに、何で私だけ【マミ】なんだろう・・・。

そう、湊汰は珠美のことを【マミ】と呼び、優しく笑いかけるようになったのだ。

今までは話してもくれなかったのにな・・・。

珠美は思い出して、微笑んだ。

「なんか変なこと考えてるでしょ」

「そんなことないよ!!っていうか、なんで私だけ【マミ】なの!?」

「なんでって・・・年上な感じがしないから」

「なんでそんなに断言するの〜!?」

「ほら、そんなところが」

む〜、と珠美が剥れると、湊汰はまた笑った。

「なんだよ!!オレを仲間はずれにすんなよ!!」

「何それ・・・アキちゃん頭平気?」

「真面目に聞くんじゃね―よ千晴!!」

「ほら、なんかあったから話かけたんじゃないの〜?」

「あぁ!!そうだったマミ!!仕事だぞ!!」

明良はクルッと珠美の方を向く。

「そうだったって・・・。こんな話の振り方しないでよ、アキちゃん!!」

「まぁ、それはいいとして。今から隣の部屋に行って、ALICEと話してきてくれ。あぁ、ちゃんとお茶も持ってけよ?」

「何でそんな大事なことを忘れてたの・・・?」

はぁ、と溜息をつきながらお茶の準備をするために、台所へ向かった。

NIGHTSに入ってから、お茶と特製のお茶菓子をお供にALICEの女の子達に話を聞くことが、珠美の仕事になったのだった。

今日はどんな相談なのかな・・・?
あんまり可哀想な思いをしてないと良いけど・・・。

紅茶とマフィンをお盆に乗せ、部室の隣の部屋へ向かう。

「入りまーす」

軽くノックをして、部屋に入った。

部屋にいた女の子は俯いていた顔をハッとあげ、珠美の方を見る。

「こんにちは!!絢咲珠美です!!緊張しないで楽にして話そうね〜!!」

珠美はニコッと笑って、お盆から物をテーブルに置き、静かに女の子の向かい側に座った。

「はい。お願いします」

そんな珠美を見て、女の子は少し安心したように微笑んだ。

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