《MUMEI》 キラリと一瞬光を放った硝子の破片は、今の私の影を薄っすらと映してすぐに消えてしまった。 もう何も感じなくていいんだ。もうムリして微笑みを持たなくても、無の感情を保ち続けなくても、罪を背負い続けなくてもいいんだ。 左手に巻かれた包帯はほとんど取れかかっていて、手首からスルリとなだらかに滑り落ちた。深く刻まれた傷みの結晶、琥珀との紅く刻んだ十字架の原形が生々しく印されている。闇に眠る記憶とゆう名の元に、深紅のドレッドチェーンを今此処に完成させて上げよう。 残っていないと思ってた涙が、一筋だけ頬をつたい床にぽとりと落ちた。 闇から与えられた裁きの破片を手に取り、左の手首にそっと当て思いっきり深く永遠の闇へと紅く刻み付けた。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |