《MUMEI》
琥珀
母親から家に電話があったのは久し振りのことだった。とゆうか電話自体鳴るなんてことは最近まったくなかったから驚いた。面倒だなーと思う反面、久し振りの展開に興味を持つ。

「はい」

 無造作に電話を受けたぼくの態度とはうって変わって、すすり泣く声だけがべったりと聞こえた。母のすすり泣く声だとゆうことはすぐにわかった。次の瞬間ぼくは、かかって来た電話の意味に体が硬直していた。母はユウヤがいなくなったーとだけ言って電話を切ってしまった。
 ユウヤは事故以来動けない状態、いなくなるとゆうことは死を意味していた。しばらく受話器を持ったまま、ツーツーとゆう音だけが耳元で鳴り響いていた。
数分後ー受話器を置いた後からも、

 いなくなった…

 の言葉だけがセリフの様にぼくの頭の中を占めて何度も繰り返され、気が付いたらボーっと立ち尽くした状態で涙だけと溢れて止まらなくなっていた。

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