《MUMEI》

とにかく病院に連れていかないとーそう思ってリビングに置いて在る電話の置いてある棚から電話帳を抜き取って括る。動物病院なんて行ったことがないし、どこの病院がいいかなんてまったくわからない。大分血が出てるみたいだから早く連れて行って上げないと。焦る気持ちを押さえながら、走って行けるほどの近い場所を見つけて診療時間をチェックして電話番号をメモ帳に控える。

 こうなったら飛び込みで病院に行った方が早い。グズグズしてると間に合わない。
 そう決断してミルクやパンの手前で、ぐったりなってるメインクーンを抱きかかえようと持ち上げた。

「ダメだよ…」

 メインクーンが再び息をすることはなかった。毛皮に詰めた砂袋がしなだれるようにグッタリと温かみだけを残して…

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