《MUMEI》 ぼくがいけなかったんだ。ぼくのせいだ、みんなぼくのせいなんだ。 何がありがとうだ。さゆりを壊したのはぼくじゃないか。何も悪いことしてないのに、ぼくの無責任な行動で死ぬよりつらい苦痛を与えてしまった。もう変えようのない残酷な現実と未来を創ってしまった。彼女はこれからイッタイどうやって生きてゆくのだろう。生きるとゆう意味も、死ぬとゆう哀しみも、すでにもう感じなくなっているのかもしれない。ぼくは取り返しの付かない試練を与えてしまった。ぼくはさゆりに夢を持たせる自由を取り上げてしまった。 ぼくは… 横断歩道の端に突っ立って、信号機が時計の代わりに時間を刻んでゆくのを別次元から覗き見てる感じ。街中を行き交う人に紛れても、一歩を踏み出すことが出来ない。ぼくはただのモノになってしまったのだろうか? 色んな記憶が走馬灯のように流れてゆく。失ったモノの大きさが今になって巨大化して、ぼく自身を押し潰そうとしている。 前へ |次へ |
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