《MUMEI》

最初に殴りかかって来た不慣れなヤツから始まって、ガキたちは次々とぼくに襲いかかって来た。取り巻きの下っ端だろうなー戦いのコツは解ってないみたいで茶々丸のように間を取っては攻めるポイント的な展開ほど上手くはなかったけど、やたらと攻めまくられて死ぬほどやられた。
数分後、何も抵抗する気力のないぼくにやる気を無くしたのか途中から脚で踏みつけて、たいしたことないーと啖呵を切ってさっさと退散してしまった。手や脚は折れてないけど肋骨はちょっとヤバイかもしれない。

 この前の始めてのケンカでの教訓。ひたすらやられてるときは自分を殺して無になってるのが一番楽なんだ。痛いハズなのに哀しくて、苦しいはずなのに笑えてくる。

 よく解らないけどルナの受けて来た哀しみは、簡単にわかって上げられるほど単純なものではないと。記憶の奥底に眠る誰も受け入れない感情は根深く漆黒の闇となって瞳に宿り、この世界そのものを否定し続けて生きてゆかなくてはならないのだから。

 君はいつもこんな重く冷たい底辺でうずくまっていたんだね。

 深くに眠るルナの哀しみのひと欠片も、ぼくは理解することが出来ないまま、安易にうかれていたことにぼくは恥ずかしく思った。

 ルナ、すごく逢いたいよ…

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