《MUMEI》

硝子の破片の痛みも忘れて、今度は声を出して名前を叫んでみた。山のように覆い被さってる衣類や折れた木材や紙くずに鉄パイプのような物まで適当に払い退けて、その中にがらくたの如く埋もれているルナをやっと見つけ出した。ルナは真っ白なシルクの下着のままうつ伏せ状態に倒れていた。しかも紅く染まった部分が面積を増してゆく様があきらかにわかる。純白の白は真っ赤に染まりつつあった。
 あまりの酷さに最初は泥棒に入られたのかと思ったけど、うつ伏せになってるルナを探してー源となる部分からドクドクと血液が湧き出てるのが見えて、襲われたのではなく自分で切ったんだーとすぐに理解した。
 いつも巻かれてる左手に包帯はなくて、心臓の音に合わせてドクドクと血液が噴き出している。

 酷い…

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