《MUMEI》

今回はあまりにも出血が多過ぎる。抱き起こして良いものかどうか、間に合うかな。
 そう思ってルナの意識を確認しようを思ったとき、壊れ掛けた人形はあやつり人形の如くぎこちない動きでカクカクと起き上がった。

「ル・ナ・・」

 恐るおそる声をかけてみる。でも反応は無い。ぼくが部屋にいることわかってるかな?意識がもうろうとしてるみたいだから。
救急車を呼ばないといけないーと思いながらもルナから目が放せないでいた。

 ルナは血の付いた服を引きずり衣装ルームと反対の方へ歩いてゆく。そして出窓に置いて在る写真立てや花瓶を、リスカしてない方の腕で振り落とす。まだ原形を残してる硝子たちが音を立てて床に落下する。
 そしてこっちを向いた姿勢で出窓に座って落ち着いた。左手首を切り落とさんばかりに深くえぐられた傷からは、痛々しくまだ血液が溢れ出ている。ルナは何事もなかったように歌をうたい始めた。

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