《MUMEI》
昨日の噂
(そんな事になってるのか…)


志貴の話を聞いて、俺は自分の事なのに、他人事のようにとらえていた。


昨日、俺が帰った後


屋上から教室に戻った奈都は泣いていたと言う。


現場は見ていないが、志貴と頼は『絶対嘘泣きだ』と言った。


嘘泣きにしても、同級生が泣いていれば、普通は誰かが心配して声をかけてくる。


そこで奈都が、泣きながら話したらしい内容は…


授業中、偶然、屋上にいる俺を見かけた


昼休み、心配になって屋上に行って、俺に声をかけた


ものすごく怒られ、突き飛ばされた


俺は逃げるように学校を出ていった


というものだった。


奈都が必死になって訴えた相手は、クラスで


というか、学校で口が軽いと有名な女子で


この話は、あっという間に広がったらしい。


そして、噂の真相を俺に直接訊こうと、志貴と頼は俺の部屋に来たと言う。


「登校してからで良かったのに」


心配してくれるのは嬉しいが、早朝はやめて欲しかった。


しかし、噂は教師まで広がり、登校と同時に俺は職員室へ連行されると頼に言われ、俺は低血圧の頼がわざわざ来た事が不思議だったから、納得した。

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