貴方の中の小悪魔
を知る神秘の占い

《MUMEI》
夕飯(2)
「美春さん、美春さんっと」
料理を頼むために階段を降りる。メシにありつけるため、ハイテンションだ。
「ん?智也、何やってるんだ。」
美春さんを呼ぼうとしたとき、上から林檎に話しかけられた。
「あぁ、ちょっと美春さんに用があってな〜。」
言いつつ、ベルを押す。
…………。
出ない。
ワンモア。
…………。
やっぱり出ない。
「美春さんなら居ないぞ。さっき勝也をシメてた時に、町内会の集まりに行くって言ってた。」
「WHAT?」
「出掛けたんだよ。だからベルを連打するのはやめろ。」
いつの間にか16連打に挑戦していた。
「馬鹿な…。嘘だと言ってくれ、林檎」
「事実だ。」
「ノオォォォォ…!」
オレは崩れ落ちた。
「そんなに大事な用だったのか?」
ぐぎゅるぐきゅ〜〜
代わりに腹が答えてくれた。
「なんだ、腹が減ってるだけか…。」
「ああ、緊急事態だ。」
「それなら私が作ってやるよ。今から食べるとこだったしな。どうだ?」
思いもよらない提案をしてきた。
「オレは洗剤で洗った米は食えないんだ…。」
丁重に断る。
「失礼を人の形にしたような奴だな…。私の料理、けっこう美味いんだぞ?」
(このまま美春さんを待つのも辛いし、林檎の料理を食べてみるか…。)
「OK!任せとけ!」
「? 何をだ?」
「毒味」
ばきっ
殴られた…。

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