《MUMEI》 「ふふふ、私はね…………」 美穂は樹の耳元で、囁く。 樹は街頭にぶつかるように後退した。俯いたまま笑い出す。 「……あはははは! 久しぶりです。 冷たかったでしょう? 可愛い妹さんですね 名前は?」 明るい調子で言う。 美穂の妹に触れようとして手を出す。 グロスで仄にピンクに色着いた唇へ人差し指を近付けた。 距離間2センチ 噛まれた 「――――痛っ」 「可愛い子でしょう。 大好き。 ほら、離しなさい。こんな硬い肉はいけません、相応しくないわ。」 美穂は優しく妹の肩を抱いた。 唇が離れる。 「あ、歯形がついた……やんちゃだ。 先輩、俺もう帰ります。また、会いましょう。」 樹は星なんかを眺めながらのんびり帰宅した。 前へ |次へ |
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