《MUMEI》
「えっとー、2−Cの【桜木美紀】ちゃんだね。それで、相談は何かな?」
珠美は早速、美紀に話を聞くことにした。
ツヅちゃんは名前とクラスしか教えてくれないからなぁ。
マミが聞いたほうが情報よりも決め細やかだから!!とか言って・・・。
都槻は珠美に、必要最低限の事しか話していなかった。
それは珠美の話の聞き方、笑顔によってALICEが心を開いて細かいところまで詳しく話してくれるので、あえて深いところまでは調べないからだった。
「実は・・・」
美紀は息を飲んで話し出した。
「「「「盗撮!?」」」」
「そうなんだって・・・」
湊汰を除くNIGHTSの全員は、大きな声で同じ事を珠美に尋ねた。
そりゃ、こんなにテンションの高いこの人たちには相談なんかできないよね・・・。
何となく納得。
珠美は失礼なことを思いながらも、話を続けた。
「美紀ちゃんの話だとね・・・」
「実は・・・私盗撮されてるんです!!」
「盗撮!?ひどいねぇ、美紀ちゃんがいくら可愛いからって!!」
「いいえ、そんなことないです」
美紀は顔を少し赤く染めた。
可愛いなぁ・・・美紀ちゃん。
あ、いけない!!詳しく聞かなきゃ!!
「いつ撮られたなぁって感じたのか教えてもらってもいい?」
はい、と美紀は少し話しずらそうに言った。
「最初は1週間前の部活が終わって着替えている時でした。その時は私しかいなくて、怖かったのを覚えています。
それで早く着替えて帰ろうと思って服を脱ぎ始めた時、窓の外が光ったように見えたんです」
「光ったのが見えたってことは、犯人は近いところにいたのかな?」
「わかりません・・・。でも、間違いかも知れないと思って窓の外に向かって『誰?』と話し掛けたら、物音が聞こえました」
「美紀ちゃん、無理しなくてもいいからね?」
美紀は話しながらすこしずつ震えていた。
よっぽど怖かったんだね、美紀ちゃん・・・。
珠美は少しでも美紀が落ち着くようにと、紅茶を差し出した。
「ありがとうございます」
美紀はお礼を言うと、紅茶を1口含んだ。
「とってもおいしいです・・・」
「本当?よかった!!」
紅茶を飲んで少し落ち着いた美紀に、珠美は笑いかけた。
その珠美の笑顔を見て本当に落ち着いたのか、美紀はまた話し始めた。
「それで・・・次に撮られたなって思ったのは、その3日後でした」
「それも同じ更衣室だったの?」
「はい・・・今度は友達といたんですけど、そのときも前と同じように窓の外が光ったんです」
「そうなんだ・・・」
「でも、こんなこと先生に相談できないし、どうしたらいいか分からなくって・・・。」
美紀は溜まらず下を向いて、涙を1粒落とした。
「それに、被害にあったのは私だけじゃないみたいなんです・・・。だから・・・お願いします、助けて下さい!!」
珠美が話の内容を告げ終わると、皆一斉に怒りを露わにした。
「そんなの絶対許せないっ!!」
「女の子怖がらせるなんて最低な奴やな!!」
「む〜美紀ちゃん達可愛そうだよ・・・」
「どうするの、アキさん?」
湊汰が明良に尋ねた。
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