《MUMEI》 本気の嘘(だから、ごめん) 心の中で謝りながら、俺は嘘をつく。 普通が、地味で目立たないと信じていた頃 俺は、自分を偽る術を忍から教わっていた。 普通の人間は嘘をつく時、目が泳ぐから 俺はその逆に 目の前の二人を、真っ直ぐ見つめる。 『これから話す事は真実』 そう、印象付ける。 「実は…」 二人が、息をのむのがわかった。 (ごめんな) 「あの日は、朝から頭が痛かったんだ。 だから、本当は休みたかった。 でも、忍に『頭痛位なら、学校に行け』って言われたんだ。 忍は、俺の恋人だけど、保護者としては厳しいし、生活費を出してもらってるから、逆らえない。 だから、登校したけど、保健室行くほどひどくはないけどダルくてさ、屋上にいたんだ。 だから、いつもよりイライラして、奈都にもあたっちゃったんだ」 俺は、平然と淡々と嘘をついた。 (考えてみれば、会ってから嘘ばっかりだな) 二人からの質問に、更に嘘を重ねながら 嘘がうまい自分に 心の中だけで、呆れていた。 結局、二人は俺の嘘を信じ、納得した。 前へ |次へ |
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