《MUMEI》
それ、俺です。
「あ…あのっ…その…」
見下ろす様な感じで見るその男がなんだか怖くて、言葉が上手く出てこない。
「んなだよ、ハッキリしねぇヤツだな。」
(う〜…マジで怖いぃ!)
「はぁ。誰でもいいんだけどさぁ、そこどいてくんない?」
「え?」
雄太はキョトンとした。
「え?じゃねえよ。そこ、俺の部屋なんだけど。」
(まさか、この目付きの悪い男が昨日の電話の相手なのか?)
「早くどけ。今日は来客があんだ、ガキの相手なんかしてるヒマ…」
「あのっ、それ…」
「あぁ?」
「そ、その来客って…俺、かも…」
勇気を出して言ってはみたが、やはり怖くて声が詰まった。
「………………。」
男は何の反応も見せず、ただじっと雄太を見る。
(何でガンつけられてんの?俺マズイ事言った?)
「あのぉ…」
不安げに男の顔を覗く。
「ふ〜ん。まぁいいや、取り敢えず中入れよ。」
男は思い直したようにいうと、持っていたカギを扉に挿しこんだ。
―ガチャッ―
「どうぞ?」
男は女性をエスコートする様に雄太を招き入れた。
「お…お邪魔します…」
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