《MUMEI》
「で、億ションにはいつ引っ越すんだ?」
「来月なっちまうかなー、とりあえず舞台のこけら落とし(初日)前にしちまえてーかなって思うんだけどよ。
なにせまだ何も家具買ってねーからなあ…、裕斗の奴時間許すかぎり加藤君につきっきりだしよー、やっぱあいつに選んでもらいてーし…、家具なきゃ住めねーからなあ…」
「…家具か、そうだよな…、ここは前妻が選んだもんばっかだからなあ、確かに買い替えた方がいいかもな…」
「…前妻って、籍入れてねーよ、てかピスタチオそれ以上食うな」
俺は遠慮のない佐伯に、かなり減らされたピスタチオのパックに蓋をする。
しかし佐伯は負けずにそこから奪った。
「何言ってんだよ内縁の妻同然だったろ、つかいーのか?加藤何とかってゆー子、裕斗君に惚れてんだろ?しかも寝ちゃったんじゃ尚更…
ほっといていーのか?
全く理解に苦しむ、俺だったら寝たって聞いた時点でぶん殴り倒して二度と相手には合わせねーな、…どんな理由があろうとしてもだ、
秀幸はお人よし過ぎる、馬鹿だ。馬鹿馬鹿バ〜カ!」
「しょうがねーだろ、俺はあいつを信じてる、もうそれだけなんだ…、な〜それもう食うなよ、あいつ最近はまっててねーと機嫌悪くなんだよ!」
「こんなん買って戻しとけ!つかガキ相手に尻にしかれてねーか?あ〜もうお前らしくねえ!
前の秀幸だったらほら!亭主関白っつーんか?こんな豆ごときで文句言われた日にゃーちゃぶ台ひっくり返す勢いだったくせに。
全く、若くて綺麗なハーフにすっかり骨抜きにされやがって、一回死ねやばーか」
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