《MUMEI》
真夏はロマンチック〜power〜
一文字の全身から黄金色の液体が噴出した。

決してアレではないぞ、アレなんかじゃないぞ。

「はぁぁぁぁ、見たか、この液体が噴き出すということは、私の怒りが爆発したということだ!」

「あわわわわ…」

京子は慌てた。恐怖した。失禁した。

今すぐここから逃げ出さなければ。頭ではそれを理解しているのだが

腰が抜けて立ち上がれそうもない。

仮に立ち上がったとしても、一文字のあの殺気めいた目で睨まれたら、動けなどしないだろう。

京子は死を覚悟した。諦めた。投げ出した。

「やれやれ、往生際がよすぎやしないかい?」

――それは、光。

京子に与えられた、小さな、しかし確実に現状を打破できる

目映い光であった。

(続く)

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