《MUMEI》
大切な物
“うん、結界‥壊れた‥”





ハナが、

目を丸くしている。





“どうやったの?”

「ぇ、どうって──」





とにかく、

手毬を取り返してやりたいと思って‥。





「──祠の戸、開くか‥?」





訊くと、

ハナが祠の戸に手をかけた。





ゆっくりと、

その戸が開く。





「──あった!」





嬉しそうな、

声。





“お兄ちゃんあったよっ、ハナの手毬!”

「───────」





これが‥

ハナの手毬──。





随分綺麗なままだ。





ずっと‥

この祠の中に隠されていたんだろうか。





“──お兄ちゃん”

「ぇ」

“ありがとうお兄ちゃん。大事な物──やっと見つかった”

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