《MUMEI》
嬉し泣き
「ぇ、ハナ‥お前──」

“ありがとうお兄ちゃん‥”

「な‥泣くなって‥」

“違うの‥”

「ぇ」

“嬉しいの、凄く‥”





手毬を抱き締めて、

ハナは笑った。





ポロポロと、

涙を零しながら。





“──お兄ちゃんのお陰だよ”





その言葉を聞いて、

何だか照れくさくなった。





「じゃ──出るか。この森から」

“───────”

「ハナ? どうか‥」

“来るっ‥‥‥”

「ぇ‥」





‥来る‥?





“──見ツケタ‥”





「‥?」





よく‥

聞こえない。





けど‥

何かが‥

近付いて来る。

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