《MUMEI》
ブランコ
三咲は不機嫌だった。

亜子はいつだって勝手なのだ。

ついさっきも、一緒に買い物に出て、亜子の食器やら洋服をたくさん買った。

ほとんどが亜子の物だと言っていい。

手ぶらで出て、買い物袋に入り切らない小さな包みを

「入れさせて?」

当たり前の様に言うのだ。

三咲だって、自分の買い物と亜子の買い物も少し持って、重たいのだ。

「だから出かける前にバッグ持てば、って言ったじゃん」

三咲が言うと
「じゃ、いいよ」

亜子はそれっきり話をしなくなった。

もぉ−…

亜子の好きな公園に寄れば、機嫌も直るかと思って来てみたが、相変わらず亜子はだんまり。

気温はぐんぐん上がって、さっき買った烏龍茶ももうない。

だいたい…と、三咲は思う。




だいたい、亜子には昔から、無神経なところがあると思う。

ご飯を一緒に食べてたってそうだ。
私はご飯の後、一気に水を飲みたいのだ。だから食べてる間は飲まない。

なのに亜子は自分の水をちょこちょこ飲んでは、足りずに「ちょっとちょうだい」と、私の水に手を出す。

結局、私が食べ終わるとコップの水は半分くらいしか残っていない。
いつも物足りない気がするのだ。

私なら、お店の人に言って、水を貰う。
しかも、あろう事か亜子はこう言ったのだ

「三咲ってあんま水分取らないよね。水分取った方がいいんだよ」




もぉ−…

三咲は、こんな細かい事をいちいち覚えている自分が嫌になった。

「先に帰ってるね」

亜子に声をかけて、ブランコを降りた。

−だめだ、少し頭を冷やそう−

三咲は軽い立ちくらみのなか、よたよたと公園を抜けた。

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