《MUMEI》 滅却俺は大鎌を拾って、 そいつを睨んだ。 「‥‥‥‥‥‥‥」 こいつを‥ どうにかしないと。 ‥なのに。 ‥手が、 震える。 「──っ」 俺は、 大鎌の切っ先をそいつの脳天に振り下ろした。 どす黒い、 闇みたいな物が噴き出して、 慟哭に似た悲鳴が、 森中に響いた。 「‥‥‥消え‥た‥?」 握っていた奴の大鎌も‥ 消えた。 “──お兄‥‥‥ちゃん‥” 微かに、声がした。 ‥ハナの声だった。 「ハナ‥あいつは‥」 “‥お兄ちゃんが‥やっつけ‥たんだよ‥” 「ぇ」 前へ |次へ |
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