《MUMEI》
様々な視線
登校中から、とにかく視線が痛かった。


それは、俺の近くに志貴と頼がいたせいもあるが


一番は、俺に対する視線だった。


(やっぱり今までとは違うな)


それらは、地味な外見の頃に感じた


『人気者の隣にふさわしくない』視線や


去年の文化祭以降の


好意の視線と明らかに違っていた。


噂を信じ、嫌悪する視線


噂の真偽が気になる好奇の視線


そして、視線の持ち主達は、俺に聞こえないように、小声で何かを話していた。


俺はそれらをウザイとは思ったが、それらに傷付く事は無かった。


俺以上に敏感だったのは、志貴と頼で


二人はかなり目付きが悪くなっていて


すれ違った生徒の顔色が悪くなっていた。


そんな中


「志貴、おはよう! ついでに祐也と一年も」


下駄箱にいた拓磨はいつも通り、笑顔で挨拶をしてきた。


(拓磨の場合は志貴優先だからな)


いつも通りだったのは拓磨だけで


「おはよう」×3


頼と別れ、三人で教室に入った時


教室内には気まずい空気が流れ


俺には、嫌悪まではいかないが、不審に思っているような視線が注がれた。

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