《MUMEI》 想像と違う「あなたが、『祐也先輩』?」 「はい」 (? 何だ?) 奈都の母親は、俺を見て、目を丸くし 何故か赤くなった。 「御覧の通り、田中は真面目で、華奢な少年です」 「…」 校長の説明に、奈都の母親は呆然としていた。 「授業をサボって娘を傷付けたから、よほどの不良だと勘違いしたらしい」 (なるほど) 担任の説明に俺は納得していた。 それから、俺が奈都とその母親の向かいに座り 奈都が小声で『ママ…』と声をかけた時 「でもうちのなっちゃんにケガをさせたんですよ!」 ようやく、奈都の母親は復活し 奈都の手首に巻かれた包帯を指差した。 「それに! そんなカラコンして!」 「いや、本物です」 「…そ、そう! それでも授業をサボった不良でしょ!」 俺の冷静な訂正に、奈都の母親の顔がカッと赤くなった。 「まあまあ、お母さん、落ち着いて下さい」 たぬきな担任と同じくらい見事な腹をした人のよさそうな校長が、口を挟んだ。 「そうです。田中は成績優秀な学生で、サボりは確か…」 髪の薄い細身の教頭の言葉に担任が、『昨日が初めてです』と続けた。 前へ |次へ |
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