《MUMEI》
高山家と朝倉家の関係
目の前で怯える奈都の母親は、高山家とは直接関わりが無い。


あるのは


奈都の父親の方だった。


彼は、大志さんの友人で


大志さんを『高山家の、果穂さんの婿』としてではなく、一個人として接する貴重な存在だ。


そんな彼を、果穂さんはかなり気に入っていたが


彼の方は、女王様な果穂さんが苦手だったらしく


朝倉家と、高山家はあまり目立った交流は無かった。


唯一、高山家が、高山家として朝倉家にした事。


それは、当時反対されていた、奈都の両親の結婚の仲裁だった。


奈都の母親の実家は、それなりに裕福な家庭で、彼女は奈都と同じ末っ子で、奈都と同じようにかなり溺愛されていた。


『可愛い娘の頼みでも、貧乏人の所には嫁がせたくない』


当時、貧乏とはいかなくても、普通よりやや下の生活をしていた朝倉家を


大切な友人を


お気に入りの知り合いを


『絶対、今に出世するから』


そう、弁護したのが高山家の二人だった。


突然登場した、自分達より更に裕福な立場の二人に、奈都の母親の両親は態度を変え、あっさり結婚を認めた。


その経緯があるから、奈都の母親にとって高山家は脅威だった。

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