《MUMEI》
モモンガの魔法
いちいち失礼なヤツ
だな、お前ん家が悪
徳だから利子が馬鹿
高くて払えないんじ
ゃないか…


『…で、借用書を返
してくれないか?』


『ふ…ん、金は用意
してるのか?』


僕は鞄をカモメ眉毛
に見せた。

勿論〜金なんて入っ
て無い…木の葉を詰
め込んで膨らんでる
鞄。騙せるか?


カモメ眉毛は、ちら
っと視線を鞄に移し
鼻を鳴らし、部下に
借用書を持って来る
様に命じた。


部下が部屋を出る時
小さな影が着いて行
った。


…モモンガくん…
心配そうにその影を
目で追うラルム。


部下は書類棚の鍵を
開けて書類の束を取
り出した。


…今だ!
モモンガは、僅かに
残った魔力を使い書
類の束に魔法を掛け
た。


『うわっなんだ?』
部下は驚きの声を挙
げた。


書類の文字が生き物
の様に宙に飛び出し
て何処かへ消えて行
くのである。


部下の手元には借用
書だった白紙の束が
残るのみ…


バタバタ…
『た、大変です!
借用書が…白紙に』
部下は慌ててカモメ
眉毛に報告に来た。


『馬鹿な…』
カモメ眉毛は書類棚
へと走り出した。

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