《MUMEI》
楽しく食事を
「まぁまぁおねーさん。わがままなっちゃんの事で悩むのやめよ〜 ね?

はい、あ〜ん」

「へ?」


真面目な空気を破る石川の登場に、渡辺は目を丸くした。


「くるみ特製ハンバーグだぞ〜 本当は愛しの厳君にやる予定だったんだから、有りがたくいただきなさい!」

「は、はい!」


渡辺は、石川の勢いに負けて口を開け、ハンバーグを食べた。


「あれ?今日は美鈴が俺にやる弁当作っ…ムグッ!」


厳の方に目を向けると、松本に口を手で塞がれていた。


「バカ厳だな」

「本当」


最近何かと気が合う頼と志貴が、笑い合っていた。


「あっちにはバカップルがいるぞ」


黙々と食べていた真司が指差したのは


二人の世界に入っている守と吉野だった。


「負けてたまるか! なぁ! 雅樹、ほら、あーん!」

「えっ…」


(まずいだろ)


「ごめんね、雅樹君。気持ち悪いだろうけど、食べてやって?

祐、ふざけるの好きだから」


暴走する祐に、すかさず希先輩がフォローを入れた。


(さすが)


その場の雰囲気を損ねる事なく、葛西先輩は祐の『あ〜ん』を受け入れた。

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