《MUMEI》 コース決め「俺だって、いつか志貴から『あ〜ん』を」 「無い無い」 「じゃあ、俺から…」 「ふざけてないでさっさと決めましょう」 昼休み、他の流れにのるように拓磨は志貴に向かって口を開けたが、志貴は無視した。 それを、拓磨は授業が始まってもまだ引きずっていたのだ。 授業といっても、今は修学旅行のコースとグループ行動についての話し合いで 今は、クラス全体のコースを決めた後のグループごとの自由行動についての話し合いを始めていた。 「俺は志貴がいるならどこでも」 「はい、馬鹿はほっといて、祐也はどこ行きたい?」 (行くっていうか…) 俺は皆に頼みたい事があった。 「一日目の自由行動、一人で行動したいんだけど…」 それは、春日さんに会うための時間を作る為だった。 「別にいいわよ」 真っ先に言ってくれたのは、事情を知っている志貴だった。 他の皆は志貴があっさり納得した事に驚いていたが すぐに、認めてくれた。 もちろん 待ち合わせ場所と時間はしっかり何度も確認して 絶対遅れない事が条件だった。 前へ |次へ |
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