《MUMEI》 しずく“──今の世の中には──随分と美味な物があるのだな、少年” クッキーを頬張りながら、 嬉しそうに言う座敷童。 “──そうだ少年──願い事は決まったか? 「ぇ」 “知っておるだろう? 座敷童は住み着いた家に幸運をもたらす妖なのだ” 「うん‥知ってる」 “だからお前の願いを聞いてやる。何でも言ってみろ。私が叶えてしんぜよう” 「ぁ‥‥‥えっと‥」 いきなり言われても、 思い付かない。 「ねぇ、座敷童さん」 “何だ?” 「名前──」 “名前?” 「『しずく』っていうのはどう?」 前へ |次へ |
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