《MUMEI》

海が…消えた。

「ドコイッタ?」

最大の力を込めて殴ったつもりが、顔をあげれば海がいない。その事を確認した先生は、まだ近くにいるはず…と周りをキョロキョロし始めた。









トンッ…

「ナッ…!?キサマドコヘキエテイタ!」
背中を触られる感触に、先生が驚いて後ろを振り替えると、そこには消えたはずの海がまるで最初からずっとそこにいたように立っていた。

「言ったでしょう。終わり…です。」

そう言って海は、今度は先生の額を指で突いた。その瞬間…




「ガッ…ぐァァァ!ヤ…ヤメ…」

バタァァァァァン…




急に先生は全ての力を失ってしまったかのように、その場で膝から崩れ落ちた。




「…ふぅ。すいません海さん…ちょっと油断しすぎちゃいました。」

そういって海は先生に背を向けると、そのまま静かに目をつぶった。









一瞬の静寂が訪れる。風もいつのまにか止まり、何の音も聞こえなくなった。そう思われたその時…『伊吹海』が目を覚ました。


「ううん…いいよ。あたしの世界で一番愛する人を守れたからね!相手ゴリ助だったからスカッとしたし。結果オーライ♪」

そして海は…よろける足に喝をいれ、再びいつもの元気な姿で、陸を迎えに飛び立った。

「陸ーーーーー!いーまいーくよーーーーー!!」

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