《MUMEI》 雨音のなか全神経を集中していると、どこからか複数の男の話声が聞こえてきた。 猪俣はM9を捨て、倒れている男の手からトカレフを奪い取った。 そして弾倉を抜き残弾を確認すると、素早くそれをグリップに差し込んだ。 装填音は雨音に掻き消されて気付かれていない。 男達の声は段々近づいてくる。 『真っ暗じゃねえか…猪俣は殺ったのか!?』 会話の内容がはっきり聞き取れる距離にまで近づいていた。 この事務所に用がある人物であることは間違い無い。 そして猪俣の味方ではないこともハッキリ解った。 前へ |次へ |
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